ディーゼル機関(ディーゼルキカン)
ディーゼル機関とは、燃料を高圧で噴射し、空気と混合後、高温高圧の状態で自己着火させる内燃機関の一種である。エンジンのシリンダーの中で燃料と空気を自然発火させ、ピストンを上下運動させることでエネルギーを獲得している。この機関の発明により、船舶の燃料は固体の石炭から液体の油へと変わっていった。主に重油などを燃料として使用し、高い熱効率と経済性を特徴とする。海事分野では、この機関は貨物船、タンカー、漁船、客船など多くの船舶において主要な動力源として採用されている。
ディーゼル機関の利点は、燃料のエネルギーを効率的に動力に変換できることにあるため、長距離の海上輸送に適しており、燃費効率の良さは運用コストの削減にも寄与する。また、燃料の可燃性が比較的低いため、安全性が高いとされる。ディーゼル機関には、2ストロークと4ストロークのタイプが存在する。2ストロークエンジンは大型の船舶用に多く用いられ、高い出力と効率を実現する。一方、4ストロークエンジンは中小型の船舶や補助機関として採用され、より精密な制御と柔軟な運用が可能である。
環境への影響に関しては、ディーゼル機関はNOx(窒素酸化物)やSOx(硫黄酸化物)などの排出が問題となっている。これに対し、国際海事機関(IMO)は排出ガス規制を強化しており、船舶用ディーゼル機関も環境負荷の低減を求められている。このため、排出ガスの後処理技術や代替燃料の利用など、環境対応型の技術開発が進められている。ディーゼルエンジンとも。なお、ルドルフ・ディーゼルというドイツ人の名前が由来となっている。
